循環への道程

ヴィトラキャンパスの「サークル ストア」

2023年10月、ドイツ、ヴァイル・アム・ラインに位置する 「ヴィトラ キャンパス」 に、中古家具やアクセサリーを販売する「サークル ストア」がオープンしました。「製品を長く使い続けるほど、環境フットプリントが削減できる」という理念に基づく循環型の考え方は、デザイン、ファッション、建築の分野でますます一般的になっていくでしょう。

「サークル=円」は、持続可能な経済活動の未来を表現しています。製品や製品に使われる素材が循環している期間が長いほど、つまり製品の使用期間が長ければ長いほど、持続可能性が高いと言えます。製品寿命が長いことは、単なる理想的な目標ではありません。その製品がどれだけ環境に優しいかを評価する際の決定的な基準のひとつです。サステイナビリテイへの意識は、世界中でますます多くの人に広がりをみせています。ラグジュアリーな世界で、古着ブームが巻き起こり、ヴィンテージのハンドバッグが今ではおしゃれとされていることが、その一つの例です。
循環型思考は現在、建築やインテリアデザインの分野にも積極的に取り入れられています。これまで廃棄されていた使用済みの建材やリサイクルされた材料を使用した「循環型建築」のプロジェクトが今日、注目を集めています。循環型建築では、解体現場や建築部品の交換所から直接材料を仕入れます。さらに、建築家は、新しい建物を計画する際にも、後々、簡単に解体できる構造設計に重点を置くようになりました。インテリアには、経年変化や使用の痕跡も含め、中古の家具やインテリアアクセサリーが選ばれる傾向にあります。

「ヴィトラ サークル ストア」という名前には、持続可能なビジネスモデルを象徴する意が込められています。ヴィトラは、これからも長い期間使用することができる製品を開発していくという信念を持ち続けると同時に、このサークルストアで、ヴィトラとグループ企業であるアルテックの中古家具やインテリアアクセサリーを販売していきます。
「ヴィトラができる持続可能性への最大の貢献は、製品のライフサイクル全般における無駄を省き、寿命の長い製品を生み出すことです。それはヴィトラのルーツとなるモダンデザインの哲学に他なりません。」
ヴィトラ CEO、ノラ・フェルバウム
既存のブリュッセルアムステルダムに続き、2023年10月にはヴァイル・アム・ラインのヴィトラキャンパス内、旗艦店でありショールームの「ヴィトラハウス」「ヴィトラハウス」と「ヴィトラ デザイン ミュージアム」「ヴィトラ デザイン ミュージアム」、「ヴィトラ シャウデポ」の近くに、新たなサークルストアがオープンしました。

ヴィトラのサークルストアでは、イベントやショールームの展示品、撮影に使用された製品、オンラインショップでの返送品などを販売しています。これらの製品は、廃棄されることなく、検品され、必要があれば状態に応じてクリーニングやリペアが施されます。さらに、修理や磨耗した部品の交換など家具にまつわるサービスも各種提供しています。それはつまり、丹念に手入れされたものは長持ちするという、「サークル」=「循環」の考え方を体現する姿でもあります。

Publication date: 14.2.2024
Author: Jasmin Jouhar
Images: © Vitra

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